THE BEATLES「REVOLVER」(1966)
ビートルズがあらゆる点で奇跡的存在であった理由はいくつかあります。
まず、彼らが作る楽曲のメロディーセンスが卓越していたこと。
どの曲をとっても多くの人が単純に「いい曲だね」と言えるキャッチ―さがあるんです。
それらの楽曲を商業的にも見事にパッケージングして売り出したプロデューサー、ジョージ・マーティンの存在も大きい。彼は5人目のビートルズとも言われました。
次に、ジョン・レノンとポール・マッカートニーという2人の天才がバンドを創設したことのみならず、ジョージ・ハリスンとリンゴ・スターという才能豊かなプレイヤーが存在したこと。
ビートルズの楽曲の多くはレノン=マッカートニー名義ですが、ジョージやリンゴの楽曲も同世代のポップナンバーの中ではセンスが抜きんでています。
そして何より、彼らを神格化せしめている一番の要因は、”新しさ”を求める貪欲なまでの創作意欲を4人全員が持ち合わせていたこと。
1962年のデビュー以来、どちらかと言えば売れ線を重視していた楽曲を世に出し、世界中からアイドル視されたビートルズはそれまでの趣向をがらりと変えて1965年に「RUBBER SOUL」を発表します。
その次に発表されたのが本項で紹介する「REVOLVER」です。
「RUBBER SOUL」で世間が熱望する”それまでのビートルズ”という期待に完全に背を向け、決してポピュラーとは言えないアルバム構成に着手したビートルズは、次の「REVOLVER」で完全に”遊び”に入ります。
ジョージはシタールの演奏にハマり、ジョンはサイケデリックで浮遊しているような曲作りにのめりこみます。
もちろん批判されました。
しかし彼らは好きな”遊び”をやめなかった。世界中の評価よりも自分たちがやりたい音楽を心ゆくまでに追求しました。
このアルバムの真骨頂は何といってもラストの「TOMORROW NEVER KNOWS」
電子音から逆再生などやりたい放題です。
これらの”遊び”を当時の聴き手は理解できなかった。
まさに時代が追いついていなかったということなんでしょうね。
色褪せないな~。