PINK FLOYD『DARK SIDE OF THE MOONー狂気ー』(1973)
またしても長い間サボってしましました。
ディスクレビューを書くことがこんなにも難しいとは思ってもみませんでした。
しかし、めげずに書いていこうと思います。
さて、久々のレビューは70年代のイギリスから。
プログレッシブロックの名盤、ひいてはロックアルバムの金字塔、ピンクフロイドの『狂気』です。
何と言ってもこれまでに全世界で5000万枚以上のセールスを記録し、ビルボード200におよそ15年間にわたってチャートインしたモンスターアルバムなのです。
決してポップではないプログレッシブロックを万人に通用させた転換作であるとも言えます。
ピンクフロイドの活動は長きにわたるため、制作の中心人物が時期によって異なりますが、この作品はロジャー・ウォーターズ期の一枚で、それまですでに名声を得ていたフロイドによる完璧なアルバム構成を持つ名盤です。言うなれば天衣無縫。
アルバム一枚が壮大なメッセージ性を持つコンセプトアルバムになっており、根底にある概念としては、人は生きていく中で狂気と常に隣り合わせであるということです。
それを伝えようとしています。
このように書くと少々とっつきにくそうなアルバムですが、単純にアルバムの構成がすごすぎて圧倒され、序盤からひき込まれます。
長い曲構成の中で、ウォーターズによるささやきのようなボーカルがあったかと思えば、突如として激流が襲いかかるようなつなぎから、振出しに戻るような序盤への回帰。
もはや言葉では言い表せません。
そして、何よりも度肝を抜かれるのはデイヴィッド・ギルモアによるギタープレイです。
こんなにも魂を揺さぶられるギターソロはなかなかないでしょう。
特に「タイム」におけるファズのかかったソロ、「マネー」における天にも昇るようなすさまじいプレイはもはやギターによる表現の限界を突破しているようにも思えます。
現代のあらゆる機材をもってしてもギルモアの手から繰り出されるソウルフルなギタープレイは真似できないでしょう。EDM勢も真っ青です。
このアルバムはAIや人工知能が芽を出し始めた現代においても決して作り出せないでしょう。現代技術は偉大なロックミュージシャンを決して超えることはできないということです。おそらく100年経ってもこんなアルバムは世に出回らないはずです。
色褪せないな~。